繰下げ支給について
- Q1 「65歳以降の老齢厚生年金の支給繰下げ」とは、具体的にはどのような制度ですか?
- Q2 65歳未満の老齢厚生年金は支給繰下げができますか?
- Q3 遺族厚生年金の権利を持っていますが、老齢厚生年金の支給繰下げはできますか?
- Q4 厚生年金保険に加入中のまま65歳になった場合、老齢厚生年金を支給繰下げするとどうなりますか?
- Q5 老齢厚生年金を支給繰下げせず、老齢基礎年金のみ支給繰下げをすることはできますか?
- Q6 地方職員共済組合の老齢厚生年金を支給繰下げせず、日本年金機構の老齢厚生年金を支給繰下げすることはできますか?
- Q7 支給繰下げをすることができるのは、最大何年間でしょうか?
- Q8 私の場合、老齢厚生年金に加給年金額が加算されると思われるのですが、支給繰下げをすることで何かメリットはありますか?
Q1 「65歳以降の老齢厚生年金の支給繰下げ」とは、具体的にはどのような制度ですか?
A 「65歳以降の老齢厚生年金の支給繰下げ」とは、本来65歳から受給する「本来支給の老齢厚生年金」を受給せずに、66歳以降に支給繰下げ請求をすることにより、本来受給するよりも割り増した老齢厚生年金を受給する制度です。
この支給繰下げ請求は、老齢厚生年金と国民年金の老齢基礎年金を同時にすることもできますし、老齢厚生年金のみ繰下げすることもできます。ただし、当組合が支給する老齢厚生年金と日本年金機構等が支給する老齢厚生年金は、同時に支給繰下げしなければなりません。
繰下げのメリットとしては、66歳以降に割り増した年金を生涯受給することができます。
デメリットとしては、65歳から支給繰下げ請求をするまでの期間(繰下げ待機期間)は年金を受給することができません。また、本来は65歳時点で加給年金額が加算される場合でも、繰下げ待機期間について加給年金額は支給されませんし、支給繰下げによる老齢厚生年金の割増し対象にもなりません。
なお、支給繰下げの老齢厚生年金の増額率は1ヶ月あたり0.7%、1年で8.4%であり、最大10年で84%分(※)増加となります。
また、繰下げ請求は66歳以降であればいつでもできますが、繰下げ加算額の計算の基礎となる繰下げ待機期間の上限が120月(※)となっていますので、75歳以降に請求をした場合でも、75歳で請求をした場合と同額の給付を75歳時点から受給できます。繰下げの年金を受給する場合は、必ず繰下げ請求をしてください。
(※)昭和27年4月1日以前に生まれた方、又は受給権発生日が平成29年4月1日より前の方は、待機期間の上限が60月、最大5年で42%分増加となります。
Q3 遺族厚生年金の権利を持っていますが、老齢厚生年金の支給繰下げはできますか?
A 66歳までに遺族厚生年金の受給権を得た方は、支給繰下げができないこととなっています。
66~74歳の間に遺族厚生年金の受給権が発生した方は、その時点で繰下げ待機期間が終了し、繰下げ加算額が加算された老齢厚生年金を受け取ることとなります。
Q4 厚生年金保険に加入中のまま65歳になった場合、老齢厚生年金を支給繰下げするとどうなりますか?
A 老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険等に加入した場合は、勤務先から得られる給与収入に応じ、年金の一部又は全部が支給停止されることとなっています。
65歳から支給繰下げ請求をするまでの期間に老齢厚生年金の一部又は全部が支給停止されることとなる者の割増し計算をする場合は、給与収入に応じた支給停止がされない部分のみを年金額の加算の算定に用いますので、給与収入(標準報酬月額及び標準賞与額)が多ければその分、割増し計算の基礎となる支給率が少なくなり、割増しされる年金額が少なくなります。
Q6 地方職員共済組合の老齢厚生年金を支給繰下げせず、日本年金機構の老齢厚生年金を支給繰下げすることはできますか?
A 当組合が支給する老齢厚生年金と日本年金機構等が支給する老齢厚生年金は、同時に支給繰下げしなければなりません。
Q7 支給繰下げをすることができるのは、最大何年間でしょうか?
A 繰下げ可能なのは、最大10年間です。仮に75歳以降に請求をした場合でも、75歳で請求をした場合と同額の給付が75歳時点に遡って受給できます。
なお、令和4年3月31日時点で、70歳以上の方(昭和27年4月1日以前生まれの方)または受給権発生日が平成29年3月31日以前の方は、最大5年間です。
Q8 私の場合、老齢厚生年金に加給年金額が加算されると思われるのですが、支給繰下げをすることで何かメリットはありますか?
A 加給年金額は、繰下げによる加算の対象外となっています。本来は65歳時点で加給年金額が加算される場合でも、繰下げ待機期間について加給年金額は支給されませんし、支給繰下げによる老齢厚生年金の割増し対象にもなりません。
したがって、加給年金額のみに視点を当てれば、繰下げするメリットはありません。